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虹診療所

お子さんに多く見られる病気・症状について、家庭でのケア、受診のタイミングなどをできるだけわかりやすくお話しし、お子さんの健康をサポートしていきます。
No  72

B型肝炎ワクチン

 世界保健機構(WHO)はBCG、麻疹、風疹、三種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳)、ポリオ、おたふくかぜ、水痘、ヒブ、肺炎球菌、子宮頸がん、ロタウイルス、B型肝炎の定期予防接種を推奨しています。
 厚生労働省予防接種委員会は2013年度からヒブ、肺炎球菌、子宮頸がんの定期予防接種化(無料)を決めましたが、おたふくかぜ、水痘、ロタウイルス、B型肝炎については未定です。
 B型肝炎ワクチンは、2010年日本を含めた十数か国以外の179か国で定期予防接種化されています。
日本では、①B型肝炎感染者が少なかったこと、②慢性化しやすい遺伝子型のウイルスが少なかったこと、③血液や体液を介するので滅多にある感染症ではないことなどから、話題に上ること事も少なかったのです。
 B型肝炎はワクチン接種で防げる病気ですので、子どもの健康と命を守るために考えてみてください。



  
 B型肝炎とは 

 B型肝炎ウイルスに感染すると、一過性感染で治癒する場合と、持続感染でウイルス保有者(キャリア)になる場合があります。
 一過性感染には、30~180日の潜伏期間を経て症状が出ないまま治る不顕性感染(70~80%)と倦怠感、黄疸、発熱などの症状を呈する急性肝炎(20~30%)がありますが、感染力を失って治ります。
 問題は、何の症状もなく知らないうちに持続感染でウイルス保有者(キャリア)になってしまい、その10%が慢性肝炎から肝硬変や肝がんに進行することです。
 大人が感染しても、ほとんどが一過性感染で治癒します。
しかし、1歳以下で感染すると90%、5歳以下で25~50%の乳幼児がウイルス保有者(キャリア)になってしまうのです。

 B型肝炎ウイルスは、ウイルス保有者(キャリア)の血液、精液などの体液を介して感染します。
1972年からB型肝炎ウイルススクリーニングが実施されている輸血・血液製剤からの感染は激減し、最も多い感染経路は、ウイルス保有者(キャリア)の母親から出産時に感染してしまう母子感染です。この感染も予防可能で、妊婦が産科検診でウイルス保有者と判明した場合、出産直後から免疫グロブリンとワクチン接種を組み合わせて赤ちゃんへの感染を予防できます。
 1986年からB型肝炎母子感染防止事業が開始されているのですが、予防処置の脱落から対象乳児の10%がウイルス保有者(キャリア)になっていることもわかっています。母子感染以外では性交渉による感染が圧倒的に多く、その他に輸血・血液製剤、血液透析、針治療、入れ墨・タトゥー、カミソリなどの共有、まれですが唾液感染などがあります。
 母子感染以外で乳幼児が感染する場合、知らないうちにウイルス保有者(キャリア)になっている父や祖父母、友達などからの口移し、歯ブラシの共有などが推定されています。

 ウイルス保有者(キャリア) 

 世界中で3億人、日本は世界の中でも低頻度ですが数十万~100万人(人口の1.0%以下)のウイルス保有者が推定されています。
 1986年から開始された母子感染防止事業によって、若年層のキャリアはかなり減少して0.1%以下となりましたが、壮年以降のウイルス保有者はまだ0.2%以上です。
 
 予 防 
① 母親は妊娠中必ず妊婦健診を受けてください。
② 乳児期早期からB型肝炎ワクチンを接種することが望ましでしょう。
③ できれば、父や祖父母も医療機関でB型肝炎ウイルス保有者でないことを確認しておくと安心です。
④ ウイルス保有者(キャリア)の出血などで体外に出た血液は、乾燥しても1週間は感染性を保ちますので、血液が付着した物の扱いにも十分注意が必要です。
医療機関では、特別な消毒薬や滅菌器具がありますが、ご家庭では98℃以上2分加熱することが最も簡単です。

 B型肝炎ワクチン 

 生後0か月から接種可能です。
1回接種後4週以上あけて2回目、2回目から20週以上あけて3回目と計3回接種します。
10歳未満は1回0.25ml、10歳以上は1回0.5mlです。
乳児の予防接種スケジュールは過密化していますので、B型肝炎ワクチン1回目と2回目接種は生後2か月から接種できるヒブ、肺炎球菌ワクチンと同時接種が良いと思います。
3回接種後20年くらい予防効果があります。
現在世界中で使われている遺伝子組み換え型ワクチンは、安全で重篤な副作用はありません。 

 料 金 

 B型肝炎ワクチンはまだ任意予防接種ですので、1回接種につき約5,000円、3回で約15,000円ほどかかります。
                             

                                 2012年6月

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