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虹診療所

お子さんに多く見られる病気・症状について、家庭でのケア、受診のタイミングなどをできるだけわかりやすくお話しし、お子さんの健康をサポートしていきます。
No  67

RSウィルス感染症大流行?

 今年、RSウイルス感染症が8月から大流行のきざしがあり、連日のようにメディアで報道されています。とくにTVでは、赤ちゃんが罹患すると怖い病気であるような内容の報道が多いためか、過剰な不安を持たれている保護者も少なくありません。
 RSウイルスの認知度は低く、今年の調査で乳幼児の母親がどのような病気か知っているのは3割以下でした。
 まずはRSウイルス感染のことをきちんと理解することが大切ですので、2008年11月号で一度取り上げていますが、少し肉付けしてもう一度お話しします。




 RSウイルスとは  
 何百種類もあるかぜのウイルスの一つで、このウイルス感染によるかぜは非常に多いのです。一年中見られますが、特に秋から春にかけて(10~4月)流行し、発生調査開始以来今年(20011年)は最も流行の立ち上がりが早く、8月から流行し始めています。
 普通のかぜウイルスは、1度感染すると免疫が出来て、2回以上かかることはほとんどありません。しかしRSウイルスは一度感染しても免疫が出来にくく、繰り返し感染しながら徐々に免疫が出来てきます
 6ヶ月以下の赤ちゃんは、母親から胎盤を介してもらった免疫抗体があるので普通のかぜにはかかりにくいのですが、RSウイルスに対しては不十分で、生後1か月満たない赤ちゃんでも感染してしまいます。
 1歳までに70%の赤ちゃんがRSウイルスに初感染し、2歳までにほぼ100%罹患し、1/3は気管支炎、肺炎を起こします。
 2歳過ぎてからのRSウイルス感染症は、鼻かぜ程度で重症化することはめずらしくなります。
 要するに、普通のかぜと違って、6ヶ月以下の赤ちゃんでもかかりやすく、呼吸機能が未熟なため重症化しやすいので要注意なのです。

 症 状 
 感染力が強く、感染者の唾液、鼻汁、くしやみや咳のしぶきが、鼻粘膜や眼球結膜から侵入してうつります。
 2~5日の潜伏期の後、鼻汁、咳、発熱などで発症し、通常1~2週間で軽快します。
しかし赤ちゃんが感染すると細気管支炎、肺炎になりやすく、発熱が長引くことは少ないのですが、徐々に呼吸状態が悪くなります
 喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)、速い呼吸、息を吸うたびに胸がへっこむ(陥没呼吸)、哺乳量減少、ひどくなると、唇の色が紫になったり、まれに呼吸を止めてしまうこともありますので、ひどくなる前にかかりつけ医を受診してください。
 数日~1週間の入院が必要となることもめずらしくありませんが、適切な時期に入院可能施設に紹介してもらえば大丈夫です。

 診 断 
 インフルエンザの検査と一緒で、鼻咽腔粘膜をこすった検体で抗原迅速診断が可能です。ただし、入院だけにしか保険適応はありませんので、症状が重くなって入院が考慮される時点で診断されます。
 軽症の子どもは、検査されることもなく普通のかぜとして診療されているはずです。要するにかぜ症状の子どもみんなに検査したら、RS患者報告数は何倍にも増えます。
 
 治 療 
 特効薬はありませんので、発症すれば対症療法が主となります。他のかぜと同様に水分補給、加湿、保温に心がけましょう。
 重症化すると、入院して輸液、加湿された酸素投与などが必要となります。
 RS感染症に対してステロイドホルモン、一部の抗アレルギー剤(オノン、キプレス、シングレア)は効果があるという報告もあります。

 予 防  
 現在、有効なワクチンはありません。
体外に出てしまったRSウイルスは、石鹸、アルコール、塩素系消毒薬で容易に感染力を失いますので、流行時期の手洗いが最も大切です。特に2歳以下の乳幼児がいるご家庭では、家族みんなで手洗い習慣を徹底しましょう。
 RS感染症は回復期まで伝染力があること、年齢が上がってくると熱もなく鼻汁程度の症状しかないため、保育園や幼稚園などの集団生活で流行を効果的に抑制することは難しいことを理解して下さい。

 重症化するリスクの高い在胎35週以下の早産児や生まれつき心臓や肺に病気を持つ乳幼児に対しては、シナジスというRSウイルスに対する抗体を10月から3月にかけて1回/月筋肉注射することによる予防法が保険で認められています。残念ですが健常な乳児には保険適応がないので、注射を希望される場合は、体重1㎏あたり2万円(体重5㎏の赤ちゃんで10万円/回)くらいかかります。

 まとめ   
 かぜが流行している時期、赤ちゃんを守るために家族みんなで予防対策を徹底してください。
 RS感染が証明されても、特別な治療があるわけではありません。
 赤ちゃんがかぜをひいたら、呼吸、哺乳状況を観察しながらタイミングよく医療機関を受診することが大切です。                          


                              2011年10月
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