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虹診療所

お子さんに多く見られる病気・症状について、家庭でのケア、受診のタイミングなどをできるだけわかりやすくお話しし、お子さんの健康をサポートしていきます。
No  66

鉄欠乏性貧血

 先月号の“子どもの貧血”でお話しした通り、今回は子どもの貧血の中で最も多い“鉄欠乏性貧血”についてお話します。



 
 鉄の働き 

 赤血球中のヘモグロビンは、肺で酸素を受け取り全身に運ぶ働きをしています。このヘモグロビン蛋白を作る大事な材料が鉄分です。
 体内に取り込まれた鉄分の多くは赤血球中にあり、残りは肝臓、脾臓、骨髄に貯蔵されています。
この鉄分が不足して赤血球が造れなくなるのが鉄欠乏性貧血で、鉄分の摂取不足や出血などによる鉄分の喪失が原因となります。
 ①生後6か月~2歳くらいと②思春期によく見られます

 鉄欠乏の症状 

 顔色蒼白、元気がない、食欲がない、疲れやすい、動悸、運動能力の低下などが一般的な貧血症状です。それ以外に鉄不足による舌炎、口角炎、味覚異常、爪の変形などが見られることがあります。

 好発年齢 

①生後6か月~2歳くらい
 赤ちゃんは、妊娠最後の3か月で胎盤を通して母親から鉄分をもらって生まれてきます。この鉄分は半年くらいで使い果たされ、乳児期後半からの食事では十分な鉄分が摂取できないため、どうしても2歳くらいまで鉄不足になります。
 顔色蒼白、元気がない、食欲がないなどの症状が続くようでしたらかかりつけ医に相談して下さい。食事内容、貧血の程度により食事指導、鉄剤内服が必要となることがあります。 
 予定日より早く生まれてしまった未熟児の場合は、鉄欠乏状態ですので生まれたすぐからしばらく鉄剤を内服することになります。

 この時期の食生活で牛乳の飲みすぎが鉄欠乏性貧血の原因となることがあります。もともと牛乳はカルシウム分の補充には良いですが、鉄分の補充にはなりません。
 また、牛乳の飲みすぎによる腸からの出血、腸の吸収障害などにより、鉄欠乏貧血だけでなく、体内の蛋白、銅も不足してしまい体のむくみまで見られることもあります。まれですが、水代わりに500ml/日以上牛乳を飲んでいる子どもは注意して下さい。

②思春期
 思春期は急速に身体が成長する時期でもあり、部活などのスポーツも盛んになりますので鉄の需要が高まります。
 また女子では生理による出血やダイエットも加わり、中学高校生の約8%に鉄欠乏性貧血が見られます。顔色蒼白、疲れやすい、動悸、運動能力の低下などが気になるようでしたら、かかりつけ医を受診して下さい。

 治療  
 貧血が軽度で生活に支障がなければ、食事療法だけで経過を見ます。
症状もはっきりしてくるヘモグロビン(正常値12 g/dl<)8 ~9g/dl以下では、鉄剤の内服もすすめます。
 またスポーツ選手などは、ヘモグロビン10 g/dl以上でも運動機能の回復を早めるため、鉄剤内服をすすめます。

①食事療法
 鉄分を多く含み吸収率の高い食品を選びましょう。…レバー、獣肉、貝類、魚、大豆、緑色野菜
 食事の時だけですが、鉄の吸収を悪くするお茶類はあまり飲まないようにしましょう。鉄の吸収を良くするビタミンCは積極的に一緒に摂取してください。
 上記のような食品をあまり食べない生後10か月以降の子どもには、フォローアップミルクを1~2回/日を与えると良いでしょう。

②鉄剤の内服 
 内服2週間以内にヘモグロビンの上昇が見られ、2か月以内に正常化します。鉄の貯蔵も含め3~4か月内服します。

 *内服時注意    
    ・食後より空腹時の方が吸収が良い
    ・ビタミンCを一緒に摂取すると良い
    ・お茶を一緒に飲まない
    ・鉄剤を服用すると便が黒くなることがある
    ・鉄剤の生臭さで嘔気をともなうことがある(→胃腸薬併用)


                               2011年9月
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