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虹診療所

お子さんに多く見られる病気・症状について、家庭でのケア、受診のタイミングなどをできるだけわかりやすくお話しし、お子さんの健康をサポートしていきます。
No  64

ポリオ不活化ワクチン導入

 手足に麻痺を残してしまう「ポリオ」という病気にかからないための予防接種があります。
日本では生後3か月~90か月(推奨期間は3~18か月)の間に6週間以上あけて2回ワクチンを飲む経口生ワクチン法が導入されています。
 日本でのポリオ患者は1980年を最後に発生していないのに、この生ワクチンによるポリオ患者が発生していることから大きな問題となっています。
 今回は、この問題についてお話します。



  
 ポリオとは? 
 
 ポリオウイルスは、口から入って腸の中で増殖し便の中に排泄され、この便を介してほかの人へと感染していきます。
 潜伏期間は1~2週で、感染の90~95%は不顕性感染と言って、病気を発症せず、知らない間にウイルスに感染しない抵抗力が出来ます。感染の約5%は倦怠感、微熱、吐き気、下痢などの胃腸炎症状を呈し治ります。1~2%は発熱、頭痛、嘔吐などの髄膜炎症状を呈しますが、ほとんど麻痺を残さず治ります。
 問題となるのは感染の0.1~0.2%で、不幸にもウイルスが脊髄に入り込んでしまい、手足に麻痺があらわれ、一生麻痺が残ってしまいます。子どもがかかることが多かったので、かつてはポリオのことを“小児麻痺”と呼んでいました。
 日本では、1960年にポリオによる麻痺患者さんが5千人を超えるほどの大流行となり、生ワクチンによる予防接種が始まりました。その結果、1980年の患者さんを最後に現在まで新たなポリオ患者はおりません。しかし、海外ではまだ流行している地域(インド、パキスタンなどの西南アジアとアフリカ)があり、いつ日本に持ち込まれるかわかりませんので、予防接種は続けられています。

 ポリオワクチン関連性麻痺 
 
 経口生ワクチンは、ウイルスを弱毒化した製剤を口から飲ませる方法です。血液中だけでなく腸管粘膜の免疫も付きやすく、経口投与できる簡便さもあり、世界中に普及しました。
 しかし、弱毒化していたはずのワクチンウイルスが腸管内で増殖を繰り返すうちに、神経への攻撃性の高いウイルスに変化してしまうことがあり、接種を受けた子どもおよび糞便に排泄されるウイルスと接触する可能性のある家族などに麻痺型ポリオがまれに発症することがわかってきました。
 日本では、年間約1人の割合で発症しており、発症率は200~300万回接種に1回の割合です。
 初回投与で多く、免疫が弱くなっていたり、接種後1か月以内の筋肉注射や外科手術がおこなわれている人に発症率が高いようです。

 これからのポリオワクチン接種について 

 ポリオ経口生ワクチンによる麻痺の問題から、日本を除く先進国は、すべて不活化ワクチンの注射法に変更しました。わが国でも、生ワクチンを拒否し、輸入した不活化ワクチンを自費接種している人が急増しております。
 しかし、計4回接種で約3万円も必要であること、国内未承認ワクチンで健康被害が発生した場合、保障が受けられないことから、不活化ワクチンの早期承認・実施が望まれます。
 現在、製薬会社4社がポリオ不活化ワクチンと三種混合ワクチンを合わせた4種混合ワクチンの開発中ですが、承認申請まで約1年の見通しがつき、厚生労働省も2012度導入予定を発表しました。
 すでに三種混合ワクチン接種を開始している人にも接種出来る単独ポリオ不活化ワクチン導入も同時に進めていくようですので、ポリオ流行地域への渡航予定がない子どもは、不活化ワクチン承認まで待っていて良いと思います。



                                          2011年7月

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