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虹診療所

お子さんに多く見られる病気・症状について、家庭でのケア、受診のタイミングなどをできるだけわかりやすくお話しし、お子さんの健康をサポートしていきます。
No  62

乳幼児揺さぶられ症候群

 泣きやまない乳幼児に苛立って、つい体を強く揺さぶると、それが原因で脳を損傷し、重度の後遺症を残したり、時には死亡することもあります。“乳幼児揺さぶられ症候群”は、児童虐待の一つで、育児に疲れ果てた親が加害者になるケースが多いのです。
 欧米では1980年代から話題になっていますが、日本ではまだ認識度が低く、揺さぶる行為が命にかかわることを知らない加害者が多い一方、ちょっとあやす程度の行為まで危険だと勘違いしている方も多いようです。
 今回は、この“乳幼児揺さぶられ症候群”についてお話します。




 どうしたら発症するの? 
 
 幼稚園児くらいになると、多少揺すられた程度では反射的に体をこわばらせるため、そう簡単にけがをすることはありません。乳幼児、特に赤ちゃんは頭が重くて首の筋肉が弱いので、強く揺さぶられると頭を自分の力で支えることができません。そのため、頭蓋骨の内側に脳が何度も打ち付けられ、脳は損傷を受けるのです。
 揺さぶられ症候群とは、誰もが危険だと思うほどに激しく揺さぶられた時に起こる頭部損傷で、あやす目的で揺すったり、“高い高い”するくらいでは発症しません

 症 状 

 日本で報告されている“揺さぶられ症候群”のほとんどは、受傷直後から30分以内に症状が出現しています。元気がない、眠りがち、機嫌が悪い、嘔吐、けいれん、意識障害などの症状を呈し、重症化すると死亡することもあります。
 医療機関を受診しても、医師にその行為が伝わらなければ(虐待した本人がその行為を話さない、保護者が揺さぶる行為を危険だと認識していないなど)、体表に外傷もありませんので、風邪や胃腸炎と誤診され重症化を防げないこともあります。
 死亡するに至らないまでも、脳神経に回復不可能なダメージがあれば、言葉の遅れ、知的障害、視力障害、運動麻痺などの後遺症を残すことになります。

 予 防 

 日本でも2002年より母子健康手帳に“赤ちゃんを強く揺さぶらないようにしましょう”と掲載され、注意を呼びかけるようになりましたが、まず保護者が“乳幼児揺さぶられ症候群”を知っておくことが大切です。泣きやまない乳幼児に苛立った時に、強く揺さぶるくらいなら許されるだろうと思ってはいけません。幼いお兄ちゃん、お姉ちゃんが遊びのつもりで強く揺さぶることがあれば、やめさせるようにしましょう。
 赤ちゃんが泣きやまなくて困った時の対策として、
①おむつを替えたり、ミルクを与えたり、あやしたりしてみましょう。
②病気の可能性もありますので、かかりつけや夜間であれば小児救急医療機関などに相談しましょう。
③苛立ちが抑えられなくなったら、周りの家族、友人に助けを求めましょう。
④周りに助けてくれる人がいなければ、一旦子どもから離れて、隣室やトイレで深呼吸などして心を落ち着 けてください。


                               2011年5月
 
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