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虹診療所

お子さんに多く見られる病気・症状について、家庭でのケア、受診のタイミングなどをできるだけわかりやすくお話しし、お子さんの健康をサポートしていきます。
No  60

小児起立性調節障害

 朝起きられない、立ちくらみがする、頭痛や嘔気などの症状が午前中強く現れ、午後から夜にかけて回復する、夜は元気でなかなか眠れない。
 病院に受診しても一般の診察や検査で異常はなく、遅刻や保健室通いが増え、親、教師、友達から“怠け者”、“根性なし”のレッテルを貼られ、しまいには不登校にまでなってしまう子どもたちがいます。
 こういう子ども達の多くが、自律神経の働きが悪くなることによる起立性調節障害という病気で困っているのです。




 起立性調節障害とは 
 
 立ち上がると血液は重力により下半身に移動します。この際、交感神経という自律神経により血管を収縮させて血液を下肢から心臓へ戻る仕組みが働くのが普通です。
 起立性調節障害では、この仕組みがうまく働かず、心臓へ戻ってくる血液が減少し、血圧低下・心拍数増加をきたします。この結果、脳や全身への血流が減少し、立ちくらみ、ふらつき、頭痛、疲れやすくなります。また、思考力や集中力も低下、食欲低下、少しの運動でも動悸、息切れを起こしやすくなります。
 身体を横にすると楽になりますので、起立性調節障害の子どもはごろごろと横になっていることが多いのはこのためです。
 交感神経の働きは、早朝起床時より活発になり身体を動きやすくさせ、夜には弱まり身体を休養させるようにします。しかし起立性調節障害の子どもでは、交感神経の働きが何時間も後ろにずれ込んでいるため、午前中は身体が眠っているような状態となって、午後から元気になって、夜は寝つきが悪くなるのです。

 
 診 断 
   
 問診による主要症状のチェック、起立試験(横になっての安静時から、起立後10分間の心拍数、血圧を経時的に測定)、他の病気(貧血、うつ病など)の除外により診断します。


 頻 度 
 
 小学校高学年から中学生にかけて多く、小学生で5%、中学生では10%もいます。
女児に多く(男:女=1:1.5)、暑くなってくる季節に症状が強くなることが多いです。


 治 療 
 
 子どもは、症状に対する不安、周囲から怠け者扱いされる苛立ちから、親子関係、学校でのトラブルなども抱えていき、30%が不登校を合併していきます。本当は身体の病気なのに心の病気が徐々に大きくなってしまいます。ですから周りの大人たち(親、教師、医者など)が子どもの苦しみをよく理解してあげることが治療の第一歩で最も大切なことです。
 わが子で心当たりがある親御さんは、心の病気が大きくなる前に、かかりつけの小児科医に相談しましょう。
まずは親子で起立性調節障害について理解してから、学校生活について担任の先生に協力を求めましょう。

① 生活習慣の改善 
 就寝・起床時刻を一定にしていき、起床後動き始めるまでゆっくり時間をかけましょう。
朝食はしっかり食べましょう。
体調が悪くて学校に行けなくても、横にならずに着替えて座っていましょう。体調が回復したら遅刻しても登校しましょう。
  薄着に心がけ、暑い場所は出来るだけ避けましょう。
下肢の筋肉をきたえることで下半身への血液貯留を防ぐことが出来ますので、散歩程度の軽い運動を毎日続けましょう。
また、循環血液量を増やすためにも、水分・塩分は少し多く摂取するようにしましょう。

 ② 自律神経鍛錬
冷水浴 : 足に水をかける程度から始め、風呂上り前に洗面器の水を3~5杯肩からかぶります。
乾布摩擦 : 乾いたタオルで腕→足→腹→胸→背中の順に20~30回強くこすります。

 ③ 薬物療法
 日常生活に支障をきたしている中等症、重症に対して、血管を収縮させて血圧を下げないようにする薬を使います。


 いつ頃治るの?  

 適切な治療が行なわれた場合、軽症では数ヶ月以内に改善しますが、日常生活に支障の出ている中等症では、1年後の回復率が50%、2~3年後でも80%です。
 不登校をともなう重症では、1年後の復学率は30%で、社会復帰に数年かかると考えた方がよいかもしれません。しかし、無理をさせず体力に見合った高校(単位制高校など)を選択すれば、約9割の子どもが高校卒業し、大学進学率も平均並です。
親御さんは決して焦らず、子どもを見守ってあげてください。


                                  2011年1月
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