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虹診療所

お子さんに多く見られる病気・症状について、家庭でのケア、受診のタイミングなどをできるだけわかりやすくお話しし、お子さんの健康をサポートしていきます。
No  6

日本脳炎ワクチン接種について

 2005年5月30日に厚生労働省は、日本脳炎ワクチン接種による重症の脳炎・脳症患者が出てしまった為、“日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨差し控え”を通達しました。これにより患者側・医療現場では現ワクチン接種の中止という認識を持ち、新ワクチンの認可が下りた時点で再開されるものだと理解していました。しかし、2006年夏直前に各自治体が“中止しているわけではないので、心配な方は副作用を理解したうえで従来のワクチン接種を受けてもいいですよ”とわざわざ通達してきました。これにより返って、患者側・医療現場ともにワクチン接種への対応に混乱が生じました。そこで今回は、現時点での日本脳炎ワクチン接種について考えてみます。






背景

 日本脳炎は1990年くらいまでは30~50人/年くらいの国内発症がありました。しかし以後は、ワクチン接種普及にともない数人/年(ほとんどは老人)しか報告されていません。一方、ワクチンによる副作用として脳炎・脳症(ADEM[アデム]=急性散在性脳脊髄炎も含む)が数人/年、おおよそ150万接種に1回報告されていました。2003年度は430万人接種に対して8人の報告があり、うち1人(中学生)が日本脳炎ワクチンによる重症のADEM(アデム)として報告されました。


日本脳炎とは?

 日本脳炎ウイルスにより脳や脊髄などの中枢神経がおかされる病気です。ブタなどの動物体内でウイルスが増殖され、それを刺したアカイエカ(水田などに発生する蚊)などがヒトを刺すことによって感染します。本州以南から東南アジアにかけて広く分布する病気です。
 ウイルスを持つ蚊にさされて感染しても、ほとんどが症状なく不顕性感染として経過します。感染者の約1000人に1人の割合で、運悪く発病すると報告されています。潜伏期間は1~2週間で、高熱、頭痛、嘔吐で発症し意識障害をはじめとする脳障害を生じます。発病者の50%が後遺症を残し、15%が死に至る病気です。


ADEM(アデム=急性散在性脳脊髄炎)とは?

 ある種のウイルス感染後やワクチン接種後、まれに発症する脳の病気です。頭痛、けいれん、視力障害(物が見えにくくなる、あるいは見えなくなる)運動障害(歩けなくなるなど)の症状が出現しますが、多くが自然経過やステロイド剤の治療によって完全回復します。しかし、5~10%に後遺症を残します。
 日本脳炎ワクチンによるADEM(アデム)は、ワクチン製造過程で微量ながら混入する可能性のあるマウスの脳組織成分が原因ではないかと考えられています。


新しい日本脳炎ワクチンは?

 従来のワクチンに比べ安全性の高いワクチンを現在2社が製造中で、最終段階まで来ているようです。しかし、認可がおりて使用できる時期がいつになるかは未定です。日本脳炎ワクチンは蚊が増える夏までに接種すべきものですので、来夏に間に合ってくれる事を期待しています。


今後日本脳炎の流行があるか?

 予防接種の普及にともなう1990年以降の患者数(数人/年)の減少から見れば、ここ数年で大流行することはないと考えられています。






 以上のことを踏まえて、①新ワクチンの認可を待って接種②従来ワクチン接種のどちらかを選択しなければいけません。


私の意見

 1990年以降の患者数が数人/年、日本脳炎の発病率が極めて低いこと、従来のワクチンでは1/150万でも後遺症を残す可能性のある副作用があるということから、①新ワクチンの認可を待って接種するのが良いと思います。
 ただし、住居近くに養豚場がある場合や、東南アジアの流行地域へ渡航する予定の人は②従来ワクチン接種を選択したほうが良いと思います。とくに、1期の初回接種(2回)も済んでいないこどもに関しては接種すべきであると思います。
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