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虹診療所

お子さんに多く見られる病気・症状について、家庭でのケア、受診のタイミングなどをできるだけわかりやすくお話しし、お子さんの健康をサポートしていきます。
No  36

タミフル耐性インフルエンザについて

 2009年1月初めからインフルエンザが流行し、下旬にはA香港型、Aソ連型、B型すべてが全国的に大流行し、警報が発令されるまでになっています。鳥インフルエンザや新型インフルエンザ発生の危険性について取りざたされている事に加え、昨シーズン北欧を中心に発生したタミフル耐性インフルエンザが急増してきたことが、連日メディアで取り上げられています。メディアが必要以上に取り上げているためか、最近の外来は、微熱程度でもインフルエンザを心配して受診する方が目立ちます。
 今回は、タミフル耐性インフルエンザについてと、現在のインフルエンザ対策をお話します。






 タミフル耐性インフルエンザ 

 昨シーズン、全世界でタミフル耐性インフルエンザが見つかるようになり、特にノルウェーを中心とした北欧で高率に確認されました。これが2008年夏には南半球で流行し、2008年10月以降に北半球で発生したインフルエンザは、タミフル耐性が25%以上を占めるようになってしまいました。
 同じ抗インフルエンザ薬であるアマンタジン(シンメトリルなど)は、2003年に耐性株が出現し、2年後には全世界に広がってしまい、今や、A香港型の100%、Aソ連型の70%が耐性を示す状況で、現在はほとんど使われなくなりました。専門家はタミフル耐性についても同様な広がりを危惧しています。
 現在日本で流行しているインフルエンザ(A香港型、Aソ連型、B型)のうち、タミフル耐性が確認されているのはAソ連型で、全体の約30%を占めています。外来で行うインフルエンザ診断検査では、A型かB型かは分かりますが、A香港型かAソ連型かまでは分かりません。
 タミフル耐性インフルエンザは怖いと思われている方もいますが、皆様にここで知っておいて欲しいことは、タミフル耐性インフルエンザは新型インフルエンザではない、重症化しやすいわけではない、従来どおりワクチンの効果は期待できるということです。


 予防 

 ① ワクチン接種

 日本では、ワクチンの効果を発病阻止率ばかりで評価する傾向があります。輪を掛けて、今シーズンのAソ連型に対してはワクチンの効果が弱そうだという報道もされました。しかし、世界的にはワクチン接種が重症化予防になることを評価している国がたくさんあります。実際、今シーズンのインフルエンザ罹患状況を見ても、ワクチン接種を受けていてもかかってしまう子どもはたくさんいますが、その経過は軽症で重症化した子どもは見ていません。ですから私は、重症化予防の観点からワクチン接種を勧めています。
 先日、ある開業医が、インフルエンザにかかった患者さんに対して“予防接種なんか無駄だ”と言っているのを耳にし、憤りさえ感じました。厚生労働省は、有熱期間、合併症、入院や点滴の有無などをスコア化し、ワクチン接種の有無による重症度を提示して、ワクチンの必要性を訴え、周知するべきだと思います。

 ② 日常生活での注意

 まずはインフルエンザウイルスが長時間生きていけない環境、つまり室内の保温加湿(湿度50%以上)に心がけましょう。
 インフルエンザウイルスは感染者のくしゃみや咳のしぶきを直接吸い込んだり、手に付着したものが口や目に入って感染します。咳やくしゃみのある方はマスクを着用し、マスクをしていない時でも、咳やくしゃみが出る時はティッシュやハンカチ、手で口を押さえ、周囲にまき散らさないよう心掛けてください(咳エチケット)。電車・バスや病院を利用する際には、予防のためマスクをしてお出かけ下さい。
 外出後は必ず手洗い、うがいをしましょう。爪先、親指まわり、手首の洗い忘れが多いそうですので気をつけてください。。うがいは、まず口の中だけをゆすぎ捨ててから、のどの奥のガラガラをしてください。
 
 予防に勝る医療がないことは言うまでもないことです。
 健康な子どもにとって、インフルエンザは一般的なカゼと同様に、ほとんどが自然に治る病気です。罹患したら、安静にし、十分な水分を補うなどして体力の消耗を防ぐことが最も大切なことです。


 治療 

 2007年10月号時点での治療指針は以下の通りでした。
  ① 年齢関係なく、元気そうな患者は抗ウイルス薬使用せず観察
  ② 保護者が十分監視できる年齢ならば、麻黄湯またはタミフル
  ③ 保護者が十分監視するのが難しい小学校高学年以降は、麻黄湯またはリレンザ

 その後の調査結果でタミフルが異常行動を引き起こす証拠が出ていませんので、最近は10代の思春期を除いては、再びタミフルの使用頻度は増えています。ただし診断検査でタミフル耐性インフルエンザかどうかは分かりませんので、今後リレンザ吸入による治療が主流になるかと思います。吸入がうまく出来ない幼児に対しては、現時点でも上記の治療指針となります。
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