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虹診療所

お子さんに多く見られる病気・症状について、家庭でのケア、受診のタイミングなどをできるだけわかりやすくお話しし、お子さんの健康をサポートしていきます。
No  33

RSウィルス感染症

 あまり聞きなれないかもしれませんが、“RSウイルス”とは何百種類もあるかぜのウイルスの一つで、実はこのウイルス感染によるかぜは非常に多いのです。一年中見られますが、特に秋から春にかけて(10~4月)流行し、過去5年間で今年(2008年)は最も流行の立ち上がりが早く、9月から流行し始めています。普通のかぜと違って、6ヶ月以下の乳児でもかかりやすく、呼吸機能が未熟なため重症化しやすいので要注意です
 今回は、このRSウイルス感染症についてお話します。






 特徴 

 普通のかぜウイルスは、1度感染すると免疫が出来て、2回以上かかることはほとんどありません。しかしRSウイルスは一度感染しても免疫が出来にくく、繰り返し感染しながら徐々に免疫が出来てきます
 6ヶ月以下の乳児は、出生時に母親から胎盤を介してもらった免疫抗体があるので普通のかぜはかかりにくいのですが、RSウイルスに対しては不十分なため感染してしまいます。
 1歳までに70%がRSウイルスに初感染し、2歳までにほぼ100%罹患します。このうちの1/3は気管支炎、肺炎を起こします。2歳過ぎてからのRSウイルス感染症は、鼻かぜ程度で重症化することはめずらしいです。

 症状 

 感染力が強く、感染者の唾液、鼻汁、くしやみや咳のしぶきが、鼻粘膜や眼球結膜から侵入してうつります。2~5日の潜伏期の後、鼻汁、咳、発熱などで発症し、通常1~2週間で軽快します。しかし乳児が感染すると細気管支炎、肺炎になりやすいので、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)、速い呼吸、息を吸うたびに胸がへっこむ(陥没呼吸)、哺乳量が減ってくるようなら、必ず医療機関を受診してください。このような場合は数日~1週間の入院が必要となることもめずらしくありません。ひどくなると、唇の色が紫になったり、まれに呼吸を止めてしまうこともあります。

 診断 

 鼻汁や鼻粘膜をこすった検体で、抗原迅速診断が可能です。ただし、入院だけにしか保険適応はありませんので、症状が重くなって入院が考慮される時点で診断されます。軽症の子どもは、検査されることもなく普通のかぜとして診療されているはずです。

 治療 

 特効薬はありませんので、発症すれば対症療法が主となります。他のかぜと同様に水分補給、加湿、保温に心がけましょう。重症化すると、入院して輸液、加湿された酸素投与などが必要となります。
 RS感染症に対してステロイドホルモン、一部の抗アレルギー剤(オノン、キプレス、シングレア)は効果があるという報告もありますので、これらの薬については主治医の先生の意見を聞いてお使い下さい。

 予防 

 現在、有効なワクチンはありません。体外に出てしまったRSウイルスは、石鹸、アルコール、塩素系消毒薬で容易に感染力を失いますので、流行時期の手洗いが最も大切です。特に2歳以下の乳幼児がいるご家庭では、家族みんなで手洗い習慣を徹底しましょう。
 重症化するリスクの高い在胎35週以下の早産児や生まれつき心臓や肺に病気を持つ乳幼児に対しては、シナジスというRSウイルスに対する抗体を10月から3月にかけて1回/月筋肉注射することによる予防法が保険で認められています。残念ですが健常な乳児には保険適応がないので、注射を希望される場合は10万円/回くらいかかります。
 
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