fc2ブログ

虹診療所

お子さんに多く見られる病気・症状について、家庭でのケア、受診のタイミングなどをできるだけわかりやすくお話しし、お子さんの健康をサポートしていきます。
No  20

今後のインフルエンザ治療について

 背景 

 健康な子どもにとって、インフルエンザは一般的なカゼと同様に多くの場合、自然に治る病気です。安静にし、十分な水分を補うなどして体力の消耗を防ぐことが対処の基本です。もちろん予防に勝る医療がないことは言うまでもないことです。
 ただし、体力、免疫力の弱い乳幼児や高齢者、心臓や肺に持病のある人の場合、インフルエンザにかかると重症化して肺炎などになり、命にかかわる場合もあります。このような患者様に、病初期に使用すれば発熱期間を短縮できる抗ウイルス薬が必要となります。その最も効果的な薬がタミフルです。
 しかし日本では、“一日でも早く熱を下げてあげたい”、“一日でも早く登園、登校させたい”ために、インフルエンザに罹患すると安易にタミフルが使用されていた(全世界の75%)のが現状でした。

 数年前から、タミフル服用後の異常行動がメディアで取り上げられるようになり、タミフル使用の是非について論議されるようになりました。私も2007年の3月号に「タミフルと異常言動」について掲載し、その中で今後のインフルエンザに対する治療方針にも触れました。その直後、タミフル服用後の異常行動は128人の報告があり、10歳代57人(45%)、10歳未満も43人(34%)を占めていることが公表され、ついに2007年3月20日に厚生労働省は以下のタミフル使用に関する緊急安全性情報を各医療機関に伝えてきました。

① 10歳以上の未成年の患者においては因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること

② また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、(1)異常行動の 発現のおそれがあること、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。


 インフルエンザ治療薬 

 タミフルは、インフルエンザウイルスが細胞から細胞へと感染するのを防ぐ役割があり、A型でもB型でも発症早期に使用すれば発熱期間を短縮できます。頻度の高い副作用は、腹痛、下痢、嘔気で20~30%に認められます。2004年から重要な副作用情報として“意識障害、異常行動、幻覚などが現れることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し観察を十分に行い、症状に応じて適切な処置を行なうこと。”が追加されています。
 タミフル以外の抗インフルエンザ薬には、以前からあるシンメトリルとタミフルと同じ作用機序である外用吸入薬リレンザがあります。
 シンメトリルは不穏、興奮などの副作用が多く、A型にしか効果がない上に、耐性ウイルスが増えたことより最近使用頻度は激減しています。
 リレンザは気道粘膜でのウイルス増殖を防ぐ薬で、発症早期であればタミフル同様の効果は期待できます。吸入薬のため全身の副作用はほとんどありませんが、吸入がうまく出来ないこども(幼稚園以下?)は効果が期待できません。
 この状況の中、にわかに注目を集めているのが漢方薬の麻黄湯(まおうとう)です。従来から悪寒や発熱のあるカゼに使われており、インフルエンザに適応があることも明記されています。しかもタミフル以上に発熱期間の短縮効果が得られたとする報告もあります。ただし乳幼児にとって飲みやすい薬ではありません。


 私の治療方針 

 2007年3月号での治療方針と大差ありませんが、麻黄湯を追記しております。保護者に情報提供した上で、以下の3つから選択するつもりです。

① 年齢関係なく、元気そうな患者は抗ウイルス薬使用せず観察
② 保護者が十分監視できる年齢ならば、麻黄湯またはタミフル
③ 保護者が十分監視するのが難しい小学校高学年以降は、麻黄湯またはリレンザ
スポンサーサイト




別窓 | 未分類 | トラックバック:0
∧top | under∨

この記事のトラックバック

∧top | under∨
| 虹診療所 |