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虹診療所

お子さんに多く見られる病気・症状について、家庭でのケア、受診のタイミングなどをできるだけわかりやすくお話しし、お子さんの健康をサポートしていきます。
No  2

こどもの嘔吐(おうと)【乳児編】

 嘔吐とは 

 脳の一番下にある延髄に“嘔吐中枢”というものがあります。ここに何らかの刺激が加わると、胃の出口が閉ざされ、反対に胃の入り口が緩み、胃に逆流運動がおこります。それとともに横隔膜や腹筋が収縮して胃を圧迫し、胃の内容物が排出されます。これが嘔吐です。
 何らかの刺激とは、緊張・不安、不快な臭いなどの自律神経(自分の意志とは無関係に自動的に調節する神経。交感神経と副交感神経がある)の興奮、胃腸の炎症などによる血液中の化学物質増加、脳圧の上昇などがあります。


 こどもは吐きやすい 

 こどもは脳の機能が未熟かつ不安定で、自律神経なども乱れやすいことから、吐きやすいと言われています。
 さらに赤ちゃんでは、胃の作りが未熟で、胃の入り口の締まりが悪いため、激しく泣いたり、咳こむだけでも簡単に吐いてしまいます。


 原因と対策 

 嘔吐の原因はさまざまで、年齢によって病気の種類が大きく変わります。 今回は乳児(1歳までの赤ちゃん)の嘔吐について、その原因と対策を頻度順にお話します。






 母乳・ミルクの飲み過ぎ・空気嚥下症などの、病的でない嘔吐

 圧倒的に多い原因がこれで、くり返し嘔吐が見られます。他に症状がなく、体重が増えていれば心配ありません。
 飲み過ぎで吐いてしまう場合は、1回哺乳量を月例相当にしましょう。
 空気嚥下症(哺乳時にたくさんの空気を飲んでしまい、ゲップと一緒に吐きやすくなること)で吐く場合は、哺乳ビンの乳首の形を変えたり、穴の大きさを大きくしてみましょう。哺乳時に空気を少ししか飲まなくなれば改善されます。


 嘔吐下痢症

 急に嘔吐、下痢が見られる病気です。発熱や顔色不良を伴うこともよくあります。口から病原ウイルスが浸入、増殖した結果です。嘔吐、下痢はウイルスをからだの外へ排泄しようとしていますので、急いでその症状を止める必要はありません。吐き始め3~4時間くらいは何も飲ませないでお腹を休ませましょう。それから10~20mlの水分(できれば白湯、乳児用イオン水→大塚製薬OS-1は理想的)を20~30分ごとに与えます。吐かなければ少しずつ増量していきましょう。嘔吐が長引くと口からの補給がうまくいきませんので、半日くらいのうちに嘔吐が止まらなければ、吐き気止めの座薬(ナウゼリン)を使用しても良いでしょう。
 ただし、下痢の量が多いときやぐったりしている時は注意が必要ですので、医療機関を受診して適切な指示をもらいましょう。


 肥厚性幽門狭窄症、腸重積などの、胃腸の通過障害

[肥厚性幽門狭窄症]
 生後2~3週くらいに胃の出口の筋肉が徐々に腫れてくる病気です。日に日に嘔吐が多くなり、しまいに飲んだものをすべて噴水状に吐くようになります。原則的に手術が必要ですので、この月令に吐くことが多くなってきたら、念のため医療機関を受診しましょう。

[腸重積]
 生後3ヶ月くらいからの乳児に多い病気です。突然お腹が痛くなるため、しばらく強く泣きます。少し落ち着く時間もありますが、原因不明の大啼泣を繰り返し、嘔吐や血便が見られるようになります。発症24時間くらいでしたら手術をしなくても高圧浣腸で治せますので、疑ったら急いで医療機関を受診してください。

[そけいヘルニア]
 ももの付け根が長時間腫れたままになると、腸閉塞で吐くことがあり、緊急手術が必要となります。疑ったら急いで医療機関を受診してください。

[マヒ性腸閉塞]
 乳児ではひどい下痢が続くと腸が疲れて動かなくなり、吐くことがあります。これをマヒ性腸閉塞いい、数日入院が必要となります。下痢止めがマヒ性腸閉塞の原因となることもありますので、下痢の回数が少ないときは使用しないでください。


 髄膜炎、脳炎

 嘔吐のほかに、高熱、意識障害、けいれん、体を触るだけで嫌がったりするときは、急いで医療機関を受診してください。


 頭蓋内出血、脳腫瘍

 これらは、脳圧が上昇して吐く病気です。乳児は前頭部に骨がないひし形の部分(大泉門)があり、ここが腫れているときは、脳圧が上がっている証拠ですので急いで医療機関を受診してください。また頭を強くぶつけて半日以内に吐く場合には、念のため医療機関を受診しましょう。


 薬物・中毒

 異物の誤飲はもちろんですが、かぜ薬などの内服中でも乳児が嘔吐した場合は、医療機関に相談してください。最近は減少したはずですが、乳児喘息でテオフィリン製剤(テオドール、アルビナ座薬など)を使用していて、感染や他の薬との相互作用により中毒で吐くことがあります。


 先天性代謝疾患

 頻度はきわめて稀ですが、新生児の代謝スクリーニング検査でわからない先天性代謝疾患はあります。原因不明で頑固に吐くときは医療機関を受診しましょう。
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この記事のコメント

No.77
こんにちは^^
とても参考になりました。
2012-06-15 Fri 14:15 | URL | kousu205 #-[ 内容変更]

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