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虹診療所

お子さんに多く見られる病気・症状について、家庭でのケア、受診のタイミングなどをできるだけわかりやすくお話しし、お子さんの健康をサポートしていきます。
No  13

タミフルと異常言動

 背景 

 タミフルは抗インフルエンザ薬として2001年2月から日本で発売されるようになりました。日本の使用量は全世界の75%も占めており、こどもへの使用量も2位のアメリカと比べても13倍だそうです。発症早期に服用すると速やかに解熱することも多く、“特効薬”と思っていた患者様も多かったようです。
 しかし、タミフル服用3時間半後に裸足で家を飛び出しトラックにはねられた17歳高校生(2004年)、服用2時間後にマンションから転落死した14歳中学生(2005年)の報告により2005年から安全性に懸念が抱かれるようになりました。そして今年2月、中学生2人がタミフル服用後に事故死したことにより、メディアでも大きく取り上げられるようになりました。


 タミフルの作用と副作用 

 気道の粘膜細胞に取り込まれたインフルエンザウイルスは、細胞内で増殖して、他の細胞へ感染を広げていきます。タミフルは、細胞から細胞へと感染するインフルエンザウイルスの表面タンパク(ノイラミニターゼ)と結合することにより、感染力をうばい、感染の広がりを防ぐ役割があります。A型、B型両方に効果があります。服用後約1時間で血中濃度は最高となり、以後約6~7時間ごとに半減していきます。
 頻度の高い副作用は、腹痛、下痢、嘔気で20~30%に認められます。2004年から重要な副作用情報として“意識障害、異常行動、幻覚などが現れることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し観察を十分に行い、症状に応じて適切な処置を行なうこと。”が追加されました。


 異常言動はタミフルによるものか? 

 元々、インフルエンザ患者の約10%に異常言動が認められることは明らかになっています。さらに「インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究」でタミフル服用群と非服用群で異常言動発現率に有意差がなかったという結果が出ました。以上より、2007年2月28日厚生労働省は、“現在のところタミフルと死亡との関係については否定的で、安全性に懸念があるとは考えておりません”と述べたうえで、①インフルエンザ患者には異常言動の可能性のあること。②少なくとも2日間、小児・未成年者のインフルエンザ患者が1人にならないように配慮すること。を患者および保護者に説明して欲しいと医療関係者に呼びかけました。


 インフルエンザ対策 

 タミフル服用と中高生だけに起こっている事故死との因果関係が否定できない現在の状況で、こどもがインフルエンザにかかった場合、どういう治療を選ぶべきか考えてみましょう。
 タミフル以外の抗インフルエンザ薬には、以前からあるシンメトリルとタミフルと同じ作用機序である外用吸入薬リレンザがあります。シンメトリルは不穏、興奮などの副作用が多く、A型にしか効果がない上に、耐性ウイルスが増えたことより最近使用頻度は激減しています。リレンザは気道粘膜でのウイルス増殖を防ぐ薬で、発症早期であればタミフル同様の効果は期待できます。吸入薬のため全身の副作用はほとんどありませんが、吸入がうまく出来ないこども(幼稚園以下?)は効果が期待できません。
 医者は、必要な情報を提供して、患者様・ご家族と治療方法を相談するのが原則です。現時点(2007年3月)で私が提示している選択肢は以下の3つです。
保護者が十分監視できる年齢ならばタミフル服用
保護者が十分監視するのが難しい小学校高学年以降はリレンザ使用
年齢関係なく、元気そうな患者は抗ウイルス薬使用せず観察
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2007-03-23 Fri 09:15 いつきの記録

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